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- 一般皮膚科【蕁麻疹、かぶれ、水虫、アトピー、乾癬】
当院では蕁麻疹(じんましん)やかぶれ、水虫などの一般皮膚科の診察を行っています。また、アトピーや乾癬などの慢性疾患に対して、専門的な治療も行なっています。
蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹(じんましん)は突然かゆみを伴う膨疹(ぼうしん・蚊に刺されたような発疹のこと)が全身にでき、しばらくすると跡形なく消えてしまう病気です。原因は皮膚の肥満細胞から分泌されるヒスタミンなどのケミカルメディエーターが関与しているといわれており、アレルギー性のものから、物理的刺激、食べ物など要因はさまざまです。アレルギー性が疑われる場合は、採血で特異的IgEを測定するなど原因を追究することができます。
症状
じんましんは、アレルギー反応によって皮膚に赤く膨らんだ斑点やブツブツが現れる病気です。かゆみを伴うことが多く、膨らみは小さなこともあれば、体に地図を描いたように大きく広がることもあります。1日の間に症状の範囲が大きく変化したり、発疹の場所が移動したりします。診察時に症状が出ていないことも多いため、症状が出た時の写真をスマートフォンなどで撮影して持参していただくと、より正確な診断ができます。困ったことに、じんま疹のきっかけは様々で、原因をはっきりと特定することが難しい場合も多いです(特発性じんま疹)。医師が必要に応じて、即時型アレルギー反応の検査をご提案します。なお、発症から6週間以内のものは急性じんましん、発症から6週間以上が経ったものは慢性じんましんと呼ばれます。慢性じんま疹は数ヶ月から数年症状が続くことがあります。
治療法
蕁麻疹(じんましん)の治療は、原因が明らかになっているかどうかによって二つの考え方があります。
まず1つ目は、原因が明らかな場合です。その場合は原因や悪化因子を取り除くことを第一に行い、症状が治まらない時は抗ヒスタミン薬などを服用します。2つ目は、原因が不明な場合です。その場合は抗アレルギー薬などの薬の服用による対症療法をメインで行うことになります。
抗アレルギー薬とは、かゆみの原因となる体内のヒスタミンの働きを抑える薬です。薬の効き目や、薬を飲むことによって眠気の発生や集中力、判断力の低下などの症状が起こる場合がありますが、これらは全て個人差があるため、気になることがある場合はすぐにご相談ください。また、慢性じんましんの場合は疲労を溜めないようにしたり、ストレスを解消することで、症状が軽くなる場合もあります。温度の高いお風呂を避け体温が上昇しやすくならないようにするなど、治療と並行して、普段の生活を見直すことも大切です。症状が安定してくれば内服の量を減らしたり間隔をあけ、内服をしなくても症状が出ない状態を目指します。
効果が乏しい場合は抗アレルギー薬の量や種類を増やしたり、別の種類の内服薬を併用したりします。
これらの内服治療でコントロールが不十分な場合には、生物学的製剤のゾレア(オマリズマブ)を注射する方法もあります。ゾレアの導入には適応条件がありますので、長期間じんま疹の症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
かぶれ(接触皮膚炎)
かぶれ(接触皮膚炎)は、外からの刺激物質や抗原(アレルギーの原因)が皮膚に触れることによって発症する湿疹性の炎症反応です。皮膚に接触した物質の直接刺激による刺激性のものと、原因物質のアレルギー反応によるアレルギー性のものがあり、アクセサリー、化粧品、毛染めなど、身近なものがアレルギーの原因となるケースもあります。アレルギー性接触皮膚炎が疑わしい場合は、パッチテストでの精査を推奨しています。
検査法
パッチテストとは?
かぶれ(接触皮膚炎)の原因物質による遅延型アレルギー反応を調べる検査です。原因物質に触れてから1〜2日遅れて症状が出てきます。そのため検査試薬を肌に乗せてから2日目以降、1週間後まで複数回受診をして頂き、反応の有無を調べます。当院では主に、ジャパニーズスタンダードアレルゲンに対応したパッチテストパネル®︎(S)を用いて検査を行なっています。
金属パッチテスト(16種)
歯科金属に対するアレルギー反応の有無も調べることができます。ご希望の方はお気軽にご相談ください。
なお、当院での金属アレルギーの検査はパッチテストのみです。血液検査は行なっておりませんので、ご承知おきください。
治療法
テロイド外用薬や抗アレルギー剤内服で治療を行います。症状が激しく範囲が広い場合は、短期間ステロイド剤を内服することもあります。再発の予防には原因の除去がもっとも大切です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、からだの様々な場所で左右にみられるかゆみのある湿疹が現れる病気で、悪くなったり良くなったりを繰り返します。患者様の多くがアトピー素因(家族歴、喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎などの既往歴、IgE抗体を産生しやすい体質など)を持つといわれています。
原因
- アレルゲン(ダニ・ホコリ・花粉・ペットの毛など)
- 皮膚への刺激(衣服、髪、化粧品、お風呂の熱など)
- 心理的要因(ストレス、精神的な不安など)
- 食べ物(小児の場合は食物アレルギーが関与していることがあります)
治療内容
アトピー性皮膚炎の治療の基本は、症状を悪化させる要因を避け、薬や生活習慣の見直しでかゆみと炎症を抑え、同時にスキンケアで皮膚のバリア機能を正常に保つことで、皮膚の改善をはかります。薬での治療については、炎症をしっかりと抑えることが大事で、ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏、その他の非ステロイド外用薬を用います。
これらの治療で改善が乏しい部分には、エキシマライトによる光線療法を併せて行っていきます。
また、夕方から就寝中は副交感神経が優位となり、かゆみが増悪するといわれています。症状が強い方は抗ヒスタミン薬を内服し、かゆみを軽減させ治療をしていきます。ただ、副作用として集中力や判断力、作業能率の低下がみられる場合があり、個人の体質や薬の種類によってその状態の起こりやすさには差があるため、車の運転をされる方や、危険を伴うような仕事に従事される方は医師にご相談ください。
標準的な外用療法でコントロールが不十分な中等症以上のアトピー性皮膚炎に対する全身療法の新しい治療薬がここ数年で続々と登場しています。当院では従来からある経口免疫抑制剤ネオーラル(シクロスポリン)による短期間の内服治療に加え、2018年発売の生物学的製剤デュピクセント(デュピルマブ)や2022年発売のミチーガ(ネモリズマブ)の採用をしております。これらの生物学的製剤の導入には適応条件があり、事前の治療状況や症状の程度、年齢によって適応の可否が判断されますので、まずは診察時にご相談ください。なお、当院での生物学的製剤の適応可否の判断は全て院長が行なっておりますのでご留意ください。遠方の方であれば、オンライン診療でのご相談も行なっておりますので、ご検討ください。
他に、2020年以降JAK(ジャック)阻害薬と呼ばれる経口の薬剤も誕生しています。細胞内の免疫活性化シグナル伝達に重要な役割を果たすヤヌスキナーゼ(JAK)に対する阻害作用を示し、免疫反応の過剰な活性化を抑制することでアトピー性皮膚炎を改善するとされており、元々関節リウマチの治療で先行して使用されていた薬剤を含みます。当院ではJAK阻害薬を用いた全身療法は行なっておりませんが、大阪公立大学医学部附属病院をはじめ、近隣医療機関と連携をして難治性アトピー性皮膚炎の患者様の治療を行なっておりますので、ご興味のある方は医師にご相談ください。
全身療法は従来の治療ではうまくいかない難治性アトピー性皮膚炎に効果的である一方、とても高額な治療となります。治療方針変更のご提案時に院内で詳細なご案内をいたしておりますが、医療費の負担軽減のための助成制度が複数用意されています。
当院では院長が全身療法の対象となるアトピー性皮膚炎患者様の診察をじっくりと行い、患者様の症状の経過やご希望を総合的に判断して、ベストな治療法を一緒に選んで参ります。現在の治療でお悩みの方は医師・スタッフにお気軽にお声かけください。
乾癬
乾癬(かんせん)とは、少し盛り上がった赤い発疹の上に、銀白色の鱗屑(りんせつ)が付着して、ふけのように剥がれ落ちる病気です。頭、ひじ、膝などの皮膚のこすれやすい部分に多く、爪などを含め全身のどこにでも起こりえます。国内の患者数は10万人(1000人に1人)以上。人にうつることはありません。原因はまだ解明されていませんが、遺伝的素因が関係していると考えられており、そこに感染症や精神的ストレス、薬剤などのさまざまな要因が加わって発症するといわれています。糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、肥満なども影響するといわれています。
治療内容
乾癬(かんせん)の治療方法は大きく分けて4つあります。症状に合わせてこれらを単独で用いたり、組み合わせたりします。
- 外用療法
- 光線療法
- 内服療法
- 生物学的製剤
中でも、当院では薬による外用療法と、エキシマライトによる光線療法を行っています。
外用療法
乾癬(かんせん)の治療の基本は外用薬です。ステロイド剤やビタミンD3の外用薬を用います。症状が強い部位や、治りにくい部位にはエキシマライトによるナローバンド光線療法を併せて行っています。重症の患者様には皮膚の異常増殖を抑えるレチノイド(ビタミンA誘導体)やシクロスポリン(免疫抑制剤)の内服薬を導入しています。上記3つの治療法で改善が見られない方には生物学的製剤の導入を検討します。現在の治療では完治は難しいのですが、症状のない状態を長期間保つことは可能。日々のスキンケアや日常生活の中で、症状を悪化させる要因を取り除くように気をつけ、治療を継続していくことがとても大切です。
光線療法
皮膚の疾患は人によって原因や症状も様々で、それに併せて治療方法も多岐に渡ります。代表的なものとしては、外用治療、内服治療、光線治療の3つがあり、これらを単体もしくは複合的に組み合わせて1人ひとりに最適な治療を行います。
エキシマライトによるナローバンド光線療法は紫外線を皮疹に直接照射し、過剰な免疫反応を抑えることで症状を改善する治療法です。当クリニックでは乾癬や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)、アトピー性皮膚炎など難治性の症状の方を対象に、他の治療と併せて照射を行っています。
光線療法は使用する紫外線の種類によって、UVA(長波長紫外線)とUVB(中波長紫外線)に分けられ、当クリニックではUVB(中波紫外線療法)を用いています。中波紫外線は皮膚の細胞増殖や炎症を抑制する効果がある一方で、皮膚への悪い影響を与えにくい性質があるので安心してご利用いただけます。さらに、エキシマライトは症状が出ている部分にのみ紫外線を照射することができるので健常部位への色素沈着などのリスクを減らすことができます。
週に1〜2回の照射が効果的で、照射時間は1箇所あたり2~10秒。痛みはないため当日からの洗顔や入浴が可能です。肌質によっては照射部に赤みやヒリヒリ感、一時的な色素沈着を起こすことがありますので、当院では低線量でのテスト照射を行なった後に、治療を開始しています。定期的に写真による効果判定を行いながら治療を進めていきます。
※上記疾患に対するエキシマライト療法は保険適用となります。詳細はスタッフにお尋ねください。
水虫(白癬)
水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が皮膚に感染しておこる病気です。足指の間や足の裏、足の爪、またの周りなどに多く、皮めくれ、ジクジク、水ぶくれ、赤み、かゆみなど症状は多彩です。かかとや足の裏が厚くガサガサになるタイプもあり、気づかず放っておきがちです。
爪に感染した場合は、爪の表面や中が白色や黄色に濁り、だんだん分厚くなってきます。
水虫の診断は見た目だけではできません。診察で皮膚や爪の中に白癬菌がいるかどうかを顕微鏡を使って確認することで確定します。高温多湿の状態になると白癬菌が増幅するため、夏場の靴や、通気性の悪くて蒸れやすいブーツなどは特に水虫のリスクが高くなるため注意が必要です。体のほかの場所や家族にうつしてしまう恐れもあるため、早めの治療をおすすめしています。
治療内容
足白癬には抗真菌薬の外用薬を用いて治療します。かゆみがなくなり見た目がキレイになってから、1ヵ月ほど薬を塗り続けることで完治します。症状が強い場合は、抗真菌薬の内服薬を使用する場合もあります。
爪白癬に対しては、爪専用の外用薬または内服薬で治療をします。爪全体に症状がみられる方は治療に6ヵ月~1年以上かかりますので、早めの治療をお勧めします。